妄言-理想と現実の狭間で-

 私は合衆国大統領という職をコンサートのプログラムで例えるなら序曲(選挙戦)、交響曲(国家運営)を演奏するようなものだと常々考えている。

 第44代合衆国大統領バラク・オバマによる交響曲のコーダはさながら奇想曲であろう。民主党員で進歩的にして黒人初の大統領、アメリカが抱える人種問題におけるマイルストーン超大国が見せた国家自身のサクセスストーリー。しかしその終結部分は序曲のような明るさを感じさせるものでなく、それまでのメロディを否定するような、奇妙な感覚を覚えさせる。

 同時上演のトランプ序曲はチャイコフスキーの大序曲1812年を彷彿とさせる。偉大なアメリカを再びのスローガンのもと、強大な対立候補を打ち倒した。既存倫理、メディア、政治家、スターの誰もが彼を止められなかった。Brexitの時と同じく専門家、マスコミ、市場の予測と反する形にて。序曲から交響曲に入る前の静寂。あらたな作曲者兼指揮者はどのような交響曲を披露するのだろうか。

 

 私は一連の文脈から既存の政治・経済システムの限界を見る。気が向いたら詳細を書きたいところ。